インプラント オールオン6とは？治療法が生まれた背景についても解説

【導入】オールオン6とは？

オールオン6とは、上あごまたは下あごに6本のインプラント（人工歯根）を埋め込み、それらを土台に一列の人工歯を固定するインプラント治療法です。歯をすべて失った方や残っている歯がほとんどない方が主な対象で、少ない本数のインプラントで失った歯列全体を補える新しいインプラント治療の選択肢の一つです。

通常、歯を失った場合には失った歯の数だけインプラントを埋め込むこともできますが、多数の歯がない場合にそのすべてにインプラントを入れるのは現実的ではありません。そこで考案されたのがオールオン4やオールオン6です。限られた本数のインプラントで総入れ歯のように歯列全体を固定できるため、従来の入れ歯に代わる新しい選択肢となっています。

【特徴】オールオン6のメリット・デメリット

＜メリット＞

【固定式のため、安定感が期待できます】

オールオン6は固定式のため、入れ歯のようにずれたり外れたりしません。従来の入れ歯よりも安定した噛み心地が期待でき、多くの患者様が自然な噛み心地を感じています。

【見た目に配慮されたデザインが採用されています】

インプラントで支える人工歯は見た目も自然で、装着時の違和感が少なくなります。人前でも自信を持って笑ったり話したりでき、審美的な観点でも選ばれることが多い治療法です。

【取り外し不要】

一度固定した歯はご自身で取り外す必要がなく、口の中に固定されたままになります。入れ歯のように毎日外して洗浄したり保管場所を気にする煩わしさがなく、日常生活を快適に過ごせます。

＜デメリット＞

【費用が高い】

オールオン6は高度な治療であり、治療費用が高額です。自由診療のため、費用は歯科医院により異なります。詳しくは歯科医にご相談ください。

【外科手術が必要】

インプラントを埋め込む外科手術が必要となるため、体への負担やリスクを伴います。術後には腫れや痛みが生じることもあり、回復までに一定の時間が必要です。

【メンテナンスが必須】

治療後は毎日の口腔ケアと歯科医院での定期検診・クリーニングを欠かさず行うメンテナンスが欠かせません。お手入れを怠るとインプラント周囲に炎症が起きたり、せっかくの人工歯が長持ちしない恐れがあるため注意が必要です。

【歴史】オールオン6が生まれた背景

オールオン6は、もともとオールオン4と呼ばれる治療コンセプトから発展したものです。オールオン4は1990年代に海外で開発され、4本のインプラントで全ての人工歯を支える方法として世界中に広まりました。このコンセプトを応用し、骨が少ないケースでも安定性を高めたのがオールオン6です。なぜインプラントを6本に増やす必要があったのかというと、あごの骨の状態によって4本では負担が大きい場合があるためです。長年入れ歯を使用して骨が痩せている方などでは、インプラントを6本に増やすことで一つひとつの負荷を軽減し、より安定した支えを得られます。
海外ではオールオン4/6が広まりつつあり、日本でも導入が進んでいます。顎骨が弱い傾向にある日本人にとっても、オールオン6は総入れ歯に代わる有力な選択肢です。

【他の治療法との比較】

オールオン4や入れ歯との違いでは、オールオン6は他の治療法と比べて何が違うのでしょうか。ここでは代表的なオールオン4と総入れ歯の場合との違いを見てみます。

＜オールオン4との比較＞

大きな違いはインプラントの本数です。文字どおり4本と6本の差があり、本数によって適用できる症例や費用にも違いが生じます。一般的に、顎の骨に十分な厚みがある場合は4本で対応でき費用も抑えられますが、骨が少ないケースでは6本にすることで支えを増やし安定性を高めます。ただしその分、費用負担や手術時間も増加します。

＜入れ歯との比較＞

入れ歯（総義歯）と比べると、オールオン6は取り外し不要の固定式である点が大きな違いです。入れ歯のように食事中や会話中に外れてしまう心配がなく、噛む力も自分の歯に近い水準まで回復できます。また、上あごを覆う大きな床（義歯のプレート）がないため異物感が少なく、発音や味覚への影響も抑えられます。一方で、入れ歯は手術が不要で費用も安価に済むメリットがあり、全身の健康状態や予算によっては入れ歯の方が適している場合もあります。

【まとめ】オールオン6はどんな人におすすめ？

オールオン6は、総入れ歯以外の選択肢をお探しの方や、固定式のため、安定感が期待できる歯を取り戻したいと願う方にとって有力な選択肢です。特に総入れ歯が合わず痛みやズレに悩んでいる方や、硬いものが食べられず食事を楽しめない方には大きな助けとなるでしょう。
ただし、外科手術と高額な費用を伴うため慎重な検討が必要です。事前に歯科医と十分に相談し、顎の骨の状態や全身の健康、費用面などを確認しておきましょう。また、治療後も良い状態を保つためには日々のケアと定期メンテナンスが欠かせません。
インプラント オールオン6は新しいインプラント治療の選択肢の一つですが、人によって向き不向きがあります。歯の悩みをお持ちの方は、まずは歯科医院で相談されることをおすすめします。