オールオン6とは?
オールオン6とは、上あごまたは下あごに6本のインプラント(土台となる人工の歯根)を埋め込み、その上に一体化した人工の歯列(おもに12本程度の歯)を固定する歯科治療法です。簡単に言うと、「6本のインプラントですべての歯を支える方法」で、失った歯が多い方向けのインプラント治療の一種になります。総入れ歯のように取り外しをする必要がなく、固定式の人工歯を装着することで、見た目の自然さやしっかりとした装着感が得られることを目指した治療法です。
通常、歯をたくさん失った場合、欠損した歯の本数と同じだけインプラントを埋め込むと膨大な本数・費用になってしまいます。オールオン6では6本のインプラントで歯列を支えるため、比較的少ない本数のインプラントでお口全体の機能回復を図れるのが特徴です。手術当日に仮の歯(仮歯)を装着し、その日から歯がある状態で過ごせる場合もあります(口の状態によって異なります)。このように短期間で仮歯を装着できるケースもあり、即日治療の選択肢の一つとして認識されています。
ただし、あごの骨や健康状態によって適用できるかどうかは変わるため、詳しくは歯科医師と相談して決める必要があります。
どんな人に向いている?
オールオン6は、主に多数の歯を失っている方や現在総入れ歯を使用している方に適した治療法です。具体的には、次のようなケースの方が検討することが多いでしょう。
上または下の歯がほとんど残っていない方(無歯顎と呼ばれる状態の方)
歯をほとんど失ってしまい、従来は総入れ歯で対応しているケースで、固定式の歯を希望する方に向いています。
総入れ歯を使っているが違和感がある方
入れ歯がズレたり外れたりして噛みにくい、硬いものがうまく食べられない、発音しにくい、といった不満がある方は、オールオン6によって固定式の歯を得ることで総入れ歯の違和感が気になる方にとって、新たな選択肢の一つとなります。
多数の歯を一度に治療したい方
残っている歯がわずかで、その歯も虫歯や歯周病で状態が悪い場合、複数の歯を失っており、インプラントを選択肢の一つとして検討される方に適しています。 オールオン6では残った不調な歯を抜いてインプラントに置き換えることで、大きくお口の中を改善できます。
インプラント治療を検討しているが費用や手術の負担が心配な方
歯が多数ない場合に一本ずつインプラントを入れると手術回数や費用が非常に大きくなります。オールオン6は6本で済むため、その分身体的負担や費用負担を抑えたい方に向いています。
以上のように、オールオン6は「歯がほとんどない状態をどうにかしたい」という方に適した選択肢です。ただし、あごの骨の状態や全身の健康状態によっては適応とならない場合もあります。骨が極端に痩せている場合は骨移植など追加の処置が必要になるケースもありますので、治療の可否や適性は歯科医院での検査・相談によって判断されます。
治療の流れ
- カウンセリング・検査
まず歯科医師による相談とお口の検査を行います。お口の中の状態を確認し、レントゲンやCT撮影であごの骨の量・質、残っている歯や噛み合わせの状態を詳しく調べます。患者さんの希望や不安もこの段階でしっかり伺い、治療方針の大枠を決めます。 - 治療計画の立案
検査結果に基づき、オールオン6が適切かどうかを含めた治療計画を立てます。残存歯がある場合は抜歯が必要か検討し、インプラントを埋め込む位置や本数(基本は6本)、使用する人工歯の設計など詳細を決めます。治療期間や費用、注意点についてもここで説明を受けます。 - インプラント手術(一次手術)
計画に同意したら手術に進みます。通常は局所麻酔(場合によっては静脈内鎮静法など併用)で、6本のインプラントをあごの骨に埋入します。同時に残っている悪い歯があれば抜歯も行います。術中は麻酔が効いているので痛みはほとんど感じません。手術時間は状態によりますが、目安として数時間程度かかります。 - 仮歯の装着
インプラントを埋め込んだ後、**仮の歯(プロビジョナル義歯)**を装着することがあります。ケースによっては手術当日、もしくは数日以内に固定式の仮歯を入れることで、手術直後から見た目やある程度の咀嚼機能を回復できます。ただし、骨とインプラントがしっかり結合するまでは硬いものを避けるなど咀嚼に制限がかかる場合があります。仮歯を入れない場合でも、必要に応じて一時的な入れ歯を使いながら治癒を待つこともあります。 - 治癒期間(インプラントと骨の結合)
手術後はインプラントと骨が結合するまでの治癒期間を設けます。個人差がありますが、通常3〜6か月程度かけてあごの骨とインプラントがしっかり結びつくのを待ちます。この間は定期的に経過観察を行い、歯ぐきの治り具合やインプラントが安定しているかチェックします。仮歯を装着している場合は、噛み合わせの調整や清掃状態のチェックも行われます。 - アバットメント装着・最終の歯の装着(二次手術)
インプラントが安定したら、最終的な人工歯(上部構造)を装着します。まずインプラントにアバットメントと呼ばれる連結部品を取り付け、その上にオーダーメイドの**最終ブリッジ(人工歯列)**を固定します。この最終の歯は仮歯よりも強度・精度が高く、見た目もより自然に仕上げられます。調整が終われば、晴れて固定式の新しい歯が完成です。 - アフターケア・メンテナンス
治療完了後も、定期的なメンテナンスを行うことで、長く快適に使用できる可能性があります。 インプラントと人工歯を長持ちさせるため、歯科医院での定期検診(噛み合わせのチェック、清掃、レントゲン確認など)を受け、日々のセルフケアでは専用のブラシやフロス、ウォーターピック等を使った清掃を行います。オールオン6のブリッジは取り外しができない分、歯ぐきとの隙間に食べかすが詰まりやすいため、正しいお手入れ方法を習い、清潔に保つことが重要です。定期的なメンテナンスを続けることで、インプラントによる新しい歯を長く快適に使い続けることが期待できます。
メリット・デメリット
メリット
- 少ない本数のインプラントで全体を治療できる
失った歯それぞれにインプラントを埋め込む場合と比べて、6本で済むオールオン6はトータルの手術負担や費用負担を抑えられる可能性があります。歯がほとんど無い方にとって、比較的効率よくインプラント治療が行える方法と言えます。
- 固定式の歯で安定して噛める
オールオン6はインプラントでしっかり人工歯を支えるため、入れ歯のようにズレたり外れたりしません。硬い物もしっかり噛みやすくなり、食事を快適に楽しめるようになるケースが多いです。固定式の歯を装着することで、安定感が得られるため、食事のしやすさを実感される方もいます。
- 見た目が自然で会話もしやすい
お口に固定された歯は、見た目も自然で笑顔にも自信が持てます。入れ歯のように口の中で動いたり外れたりしないので、発音もしやすく、会話中に入れ歯が外れる心配もありません。見た目と機能の両面で生活の質(QOL)の向上が期待できます。
- 顎の骨に直接インプラントを埋め込むことで、噛む際に骨へ刺激が加わるとされています。
インプラントはあごの骨に直接力を伝える構造のため、骨吸収の影響を受けにくいと考えられています。歯を失った部分の骨は使われないと徐々に減っていきますが、インプラントを入れることで刺激が加わり、骨の維持につながります。長い目で見たお口の健康維持にもプラスになる点がメリットです。
- 比較的短期間で治療が完了する場合がある
治療期間は個人の状態によって異なりますが、オールオン6は即日で仮歯を入れるケースもあり、治療の進行によっては、比較的短期間で仮歯が装着されることもあります。 また、6本まとめて手術するため、何度も手術を繰り返す必要がなく、一度の大きな手術で治療が進む点も身体的・時間的な負担を軽減します。
デメリット
- 外科手術が必要
オールオン6はれっきとした外科処置です。全身状態によっては手術のリスクを慎重に考慮する必要があります。手術後には腫れや痛みが出る場合もあり、回復までに一定の時間がかかります。また外科手術である以上、感染症やインプラントの拒絶反応などのリスクがゼロではありません(リスクを減らすために十分な衛生管理や抗生剤の投与が行われます)。
- 費用が高額
オールオン6は保険適用外の自由診療となるため、治療費は全額自己負担になります。総入れ歯など保険診療の方法に比べると高額になります。また、インプラント6本分の費用に加え、人工歯の作製費用などもかかるため、経済的な負担は大きくなりがちです。治療を決断する際には費用面の計画も重要になります。
- 対応できる歯科医院が限られる
オオールオン6は高度なインプラント治療の一種です。そのため、この手法に習熟した歯科医師や設備の整った歯科医院でないと提供が難しい場合があります。地域によっては対応できる医院が少ないこともあり、治療を受けるために専門のクリニックを探す必要があるかもしれません。
- 残っている歯を抜く決断が必要な場合がある
例えば片あごに数本だけ歯が残っている場合、それらを活かすか抜いてオールオン6にするか判断が必要です。オールオン6は基本的に歯がない状態の顎に行う治療のため、残存歯があるケースではそれらを抜歯してインプラントに置き換えることになります。**「自分の歯を抜いてしまう」**決断が伴うことは心理的なハードルになりえますし、残せる歯をあえて抜くことが本当に良いかどうか慎重な検討が必要です。
- お手入れに工夫が必要
<pオールオン6で装着するブリッジ(固定式の義歯)は取り外しができないため、毎日の清掃には専用のケアが求められます。歯と歯ぐきの間に食べかすが溜まりやすい構造のため、通常の歯ブラシに加えてデンタルフロスや歯間ブラシ、ウォーターフロスなどを使用して丁寧にお手入れする必要があります。適切なケアを怠ると適切なメンテナンスを行わない場合、インプラント周囲炎が発生することがありますので、定期的なケアが推奨されます。 ご自身できちんとメンテナンスを続ける自己管理が求められる点は注意が必要です。
費用と保険適用の有無
オールオン6にかかる費用は、日本国内では基本的に保険適用外(自費診療)となり、治療費は全額自己負担になります。そのため費用は安くはなく、一般的な総入れ歯(保険適用で数千~数万円程度)と比べると大きな金額になります。費用の相場としては、ケースや使用する素材によって幅がありますが、片顎(上あごまたは下あご一方)で約 250万〜400万円程度が目安とされています。条件が良く比較的シンプルな症例ではもう少し安く収まることもありますが、顎の骨の状態によっては、骨移植や特殊なインプラントの使用が必要になる場合があり、その際は費用が増えることがあります。 上下両方のあごをオールオン6で治療する場合、単純計算で費用は倍程度(500万〜800万円ほど)かかるのが一般的です。この費用には、インプラント体6本の埋入手術代、仮歯作製費、最終的な人工歯(ブリッジ)の作製費、術前検査費、術後の経過観察費などが含まれることが多いですが、料金体系は医院によって異なる場合があります。カウンセリング時に見積もりを出してもらい、どこまでの処置が含まれているかを確認すると良いでしょう。
保険適用の有無についてですが、先述のとおりオールオン6は原則として健康保険が使えません。日本の公的医療保険では、失った歯を補う治療として入れ歯やブリッジは保険診療に含まれますが、インプラント治療は高度先進医療とみなされ保険適用外(例外的に顎の骨の大きな腫瘍切除後の再建など特殊なケースを除く)となっています。そのため費用は自己負担になりますが、医療費控除の対象にはなるため、高額な治療費の一部が年末調整や確定申告で税金の控除を受けられる可能性があります。高額医療になりますので、支払い方法については分割払いやデンタルローンなど各歯科医院で相談に乗ってもらえる場合もあります。不安な方は事前に費用と支払い方法について歯科医院に問い合わせてみましょう。
まとめ
オールオン6は、6本のインプラントで一列の人工歯を支えることで、歯を失った方に新しい笑顔と噛む喜びをもたらす治療法です。総入れ歯では得られなかった安定感や自然な見た目を実現できる可能性があり、多くの歯を失ってお困りの中高年の方にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。また、従来より少ない本数のインプラントで全体を支える仕組みのため、フルマウス(全顎)的なインプラント治療としては比較的負担を抑えられる点もメリットです。
一方で、手術を伴う治療であり費用も高額になるため、誰にでも手軽に受けられるものではありません。オールオン6がご自身にとって本当に適した方法かどうか、メリットだけでなくデメリットやリスクも踏まえた上で検討することが大切です。治療を迷っている方は、まずは信頼できる歯科医院でカウンセリングや検査を受け、詳しく説明を聞いてみることをおすすめします。専門の歯科医師が口腔内の状態を診断し、オールオン6を含めたベストな治療法を提案してくれるでしょう。大切な歯の治療ですので、不明点や不安な点は遠慮せず歯科医師に相談し、十分に納得した上で治療方針を決めてください。固定式の歯を検討される方は、一度歯科医院でカウンセリングを受けるのも良いでしょう。
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